ミモザとシスター

厳しい冬の寒さが和らぐ頃に出会えるミモザ。南フランスでは寒さに耐えてきた人々の心を照らす「冬の太陽」と呼ばれているそうです。春を待つこの時期になると必ずミモザが大好きだったシスターを思い出します。

シスターは修道院の中でも非常に厳格な所で修行されており半世紀以上、俗世との関わりを持たなかった方です。そこのシスター達は20歳前後の頃に洗礼を受けて修道院に入られる方がほとんどで、とても裕福な家庭の方ばかりでした。皆さん教養もあり、中には女医だった方もおられました。俗世での地位や名誉などを一切捨て、ただ祈りだけの世界で生きていく道を選んだ、その当時の時代や覚悟など私には想像しきれません。修道院が高齢化し、自給自足での生活が困難となり姫路にある、シスターや神父さまだけが生活されるヴィラに来られました。私は、そこで訪問リハビリをしていました。リハ中は、半世紀以上も俗世を知らなかったので、姫路に来るまでの間で自動車を見て驚いた話しや時代の変化に驚いた話しなどされました。ヴィラに来られてからも厳格な修道女の生活は変わりなく、毎日誰かの為にお祈りをされていました。「自分の為に祈った事は一度も無いの。誰かの為にいつも祈っています。」と仰ったシスターの言葉は常に私の心の中にあります。そんなシスターはお庭や広場にある大きなミモザを眺めながらの散歩を好まれていました。「私はミモザの花が花の中で一番好きなの」と仰っていた言葉がずっと心に残っています。

ミモザはヨーロッパでは特別な花です。ミモザ祭りやパレードが行われたり、イタリアでは女性の平等な社会参加が出来る環境を整えるように呼びかける「女性の日」に男性が女性にミモザの花を送ります。今頃になって、シスターにとってもミモザは何か特別だったのかなと思います。

もうすぐミモザの木全体が黄色く染まるほど、黄色い小さな花が沢山咲き、芳香を漂わせます。10mもある大きな木を見上げると、太陽の光に照らされたミモザの花が黄金色に輝きます。まさに冬の太陽です!

この時期になるとミモザを思い出し、シスターの祈りのパワーを感じます。「いつもシスターが私の為にも祈って下さっている。」

私もシスターと出会ってからは、「行動する時は、みんなの為にを一番に考える」ように心掛けています。まだまだシスターの祈りのパワーには敵いませんが、「コロナ感染がこれ以上、拡大しませんように」と祈ります。こんな状況だからこそ、一日一日の生きる姿勢と心のあり方を大切にしたいと思います。

木村