「家族頼み」の介護の行方

朝日新聞記事で介護保険制度の特集がありました。家族だけで担っていた高齢者の介護を社会全体で支え合う。「介護の社会化」を目指して誕生した介護保険制度が4月で導入20年となるようです。

介護保険法の1条には、要介護高齢者の「尊厳保持」「自立支援」といった制度の目的が書かれています。40歳以上が加入して介護保険料を払う。利用時の自己負担を除く費用の半分を保険料、半分を税金でまかなう仕組みです。

サービス利用には、まず介護認定を受ける。要介護度が重くなるほど、利用できるサービスの上限額が増える。サービスには、訪問介護、訪問看護などの在宅サービスと、特別養護老人ホームなどの施設サービスがある。一般的には、相談したケアマネジャーが作成したケアプランにそって利用する。

かつての国の方針は「日本型福祉社会論」と呼ばれ、福祉費の増大を抑えるため、老親の介護は同居家族の責任で対処してもらおうというものでした。介護の営みは家の内側に閉じ込められ、なかでも息子の配偶者(嫁)に負担が集中。日本型福祉社会のほころびは時を追うごとに鮮明になり、老人病院に親を託す「社会的入院」や「寝たきり老人」が問題となりました。家族介護を美風としていたものから、社会全体で支え合う介護の社会化を目指して誕生したのが介護保険です。

坊勢では制度誕生から20年が経過していても、昔の家族頼み介護が主流です。「施設に預けないで」と親戚に言われる。介護保険そのものを知らない。サービスの内容がわからない。利用の仕方がわからない。80歳代だが、自分自身は要介護に該当しないと思っている。などなど…

るりは、島にサービス提供をはじめて、一年弱ですが様々な問題点が見えてきました。今まで、坊勢で利用できる事業所はデイサービスや特養などの施設サービスばかりでした。訪問介護サービスもありましたが、家島よりもサービス提供が少なかったようです。ゆえに坊勢の島民は在宅サービスを知りません。ぼうぜ医院の下宮先生は、「島の4割が看取り」と新聞記事で掲載されていましたが、その介護の実態は在宅サービスを利用せずに家族だけで担っていた家庭が多かったようです。

先日、坊勢の長男の嫁から事業所にお怒りの電話を頂きました。

はじめは、介護保険と治療院のマッサージの違いの問い合わせから始まったのですが…
「木村さんにはどこででもリハビリしないでほしいわ(お試しのこと⁇)
知らないとこで本人と話をすすめていて嫁としてはさっぱりわからなかった。
年寄りは何でもするする言う、お金の事も考えないで決めてしまう。お金だすのはこっちなのに。坊勢の長男の嫁は皆言ってますよ
木村さんが「誰々さんはお金これくらいで、これぐらいのリハビリを利用してるで」とも言ってたと聞いた、
それは個人情報だから言ってはいけないやつじゃないですか。歩けるようになったといい話も聞くけど、悪い話もすぐにまわるから気をつけてほしい。
家族関係が悪くなるから、私が電話したことは絶対に言わんとってね!

という内容でした。衝撃的でした。この長男の嫁とは、2回も直接お会いしてお話ししています。また電話でも再度、同じ内容をお話ししています。金銭的な家族関係のもつれから、こちらに八つ当たりされた様です。

訪問リハビリを検討されている方には、お試しリハビリとして一度だけ無料でさせていただいています。私も専門職ですので、技術の安売りはしていません。ちなみに、この方にはお試しリハは行っておりません。この方は治療院でのマッサージを受けられました。また個人情報の流出も注意しています。利用料については制度上決められた金額をお伝えしています。ごく当たり前の仕事をしていても、家族関係が悪いお宅だと迷惑でしかならないということを学びました。

水戸黄門の印籠みたいに、「長男の嫁は皆んな言っている〜」との事ですが、少なくとも現時点でサービス提供している先が、利用料を長男の嫁が支払っているという方はありません。

完全に事業所に対しての八つ当たりです…こんな事をする方が増えてくれば、サービス提供する側の事業所も介入を躊躇するでしょう。そうなれば致し方なく家族頼みの介護になるでしょう。サービスを受ける側も、これからの「介護の現実」を考える時期に来ているのではないでしょうか。  

木村